写真工房展

展示会期2009年11月10日[火]〜11月21日[土]
開廊時間12:00―19:00(最終日のみ17:00まで、日曜祝日休廊)
展示作家小野口健太/富樫智子/土肥裕司/中村功/廣澤章光/三上紗智子

「写真工房展とは」

中村 功

絵画表現科が絵画をメディアとしているように、写真工房は写真をメディアとしています。しかし、工房が科と異なるのは全ての科の学生がライセンスを所持すれば誰でも工房を使用して制作することが出来ることであります。その大きな理由はマクルーハンが大衆への伝達機能を失ったときに絵画は芸術となったが、写真は未だに伝達機能を保持していると言っています。それは単に保持しているだけでなく社会は写真や映像に囲まれ、まるで私達は写真のプールを泳いでいると言っても過言ではありません。それは、人々の感覚も写真に攻撃され、目を凝らして対象を見ることが出来にくくなり、写真を通して社会を見る習慣が無意識として出来上がっています。このように写真は知らない間に私達に浸透し、現代は写真なしのコミニュケーションは成り立たなくなっているのです。

ところが、写真メディアの保存機能がデジタル化し、感材としてのフィルムが消滅しつつあります。この状況は伝達機能を失った絵画が芸術になったように、フィルム写真は伝達機能を失いつつあり芸術の領域に入りつつあります。

このような社会的状況をふまえつつ、写真が社会の情報を伝達する役割から、人間の感覚や精神に関係するメディアであることを前提にして、画像は生成するものであるとする驚異を体験出来る工房を目指しています。

写真工房では、今まで培ってきた総合されたシステム(スタジオ・暗室)を使って撮影から作品の仕上げまでの一貫した作業環境があり、写真発生時からフィルムおよびデジタル処理まで、写真に関する全ての問題点を対象にしています。

写真工房のスタッフは社会の第一線で活躍するファッション、広告、ドキュメンタリーの各分野での現役カメラマン、そして、芸術作品として自己表現するアーティストが混在しています。

今回の展覧会も様々な写真表現が混在していますが工房スタッフの有り様、そのままの提示でもあります。

ご高覧いただきご意見をいただけましたら幸いです。

三上紗智子 Sachiko MIKAMI

Profile
2005年 阿佐ヶ谷美術専門学校視覚情報デザイン科卒業

Exhibitions
2005年 阿佐ヶ谷美術専門学校視覚情報デザイン科写真専攻卒業制作展「ある日、ある時」表参道画廊(東京)

 〃 「two eyes」市川市民談話室(千葉)

2006年 「semipermeable membrane」bemch(東京)

2007年 日英米共同制作作品展 The Burt gallery(UK/London)

 〃 日英交流企画NSAD展(UK/Norwich)

Vision’s Exhibitions
2006年 art in sympathy;アートに共感して
2007年 Room


2009年 写真工房展

中村功 Isao NAKAMURA

Profile
1948年 東京生まれ

1974年 武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒

1976年 創形美術学校版画研究科修了

Exhibitions
1975年 同世代の版画家達展(真木画廊)

1980年 「メタファーとシンボル」東京国立近代美術館
1987年 「流動する美術-発熱する表面」福岡市美術館

1994年 「チバ・アートナウ1994」佐倉市美術館

1996年 ギャラリーαM 個展

2001年 グローバル・ヴィジョン「1980年以降の美術」「日本の美術・世界の美術-この50年の歩み」東京都現代美術館

2006年 「見ること/作ることの持続 後期モダニズムの美術」武蔵野美術大学資料図書館
 〃 画家がいる「場所」-現代絵画の中の記憶・風景・身体 小杉放庵記念日光美術館

 〃 島田画廊、ヒノギャラリーにて個展多数。

Public collection
東京国立近代美術館、東京都現代美術館、斉藤記念川口現代美術館、高松市美術館

Vision’s Exhibitions
2002年 フラットネス/サーフェイネス展

2005年 art in sympathy;アートに共感して 1st.

2006年 自然/映像 PHYSIS/IMAGE 展

2007年 OPTICAL NATURE1 – 目の隠喩としての自然 –

2008年 自然/映像 II

2009年 写真工房展

2011年 中村功展

「今は昔」は今昔物語の枕詞として有名ですが、それは写真の一面を指す最適な言葉でもあります。
撮りたい場面にカメラを向けシャッターを押す、その瞬間に時間と空間が凍結され過去の記録として定着します、時間と空間は連続して切れ目無く進み続け決して戻ることはありませんからカメラは「昔」を製造する便利な装置なのです。

実験室−Ⅱでも「アナログ対デジタル」がテーマです、実験室−Ⅰではデジタル画像作品を展示しましたが、写真集を始め写真展の作品もいまやデジタル作品が殆どなので、比較して展示することは控えました。
デジタル処理をしている画像かどうかにかかわらず、カラー作品とモノクロ作品のコンセプトには違いがあります。この違い云々ではなく、印画紙に焼き付けられた画像表現のニュアンスを感じ取り、既に崩壊しつつあるアナログシステムの存続意義を感じていただくことを目的にいたしました。

ここに展開されている風景は東京から横浜にかけての湾岸地区と茨城県の北に位置する海岸です、
オリンピックの東京開催が決まったことで開発が一気に進み風景が一変するであろうこと、
つい二年前に起きた三陸一帯の災害、原発汚染によって静かでも漁が出来なくなった海、全ての存在の脆さ危うさを誰もが実感していること、
想定を遙かに超える気象現象が世界で頻発していること、
などが選択の理由です。

眼の前の光景に危うさを投影するような撮影は避け、普段の光景を展示してありますが、この風景は7年もすれば変容して昔話の枕詞なるでしょう、再開発で風景が一変するのは確かなことですから、無事にオリンピックが開催されまた別の平穏な風景が拡がっていれば結構なことです。

2013年12月10日 廣澤章光

Profile
1944年 東京都生まれ

1968年 千葉大学 工学部写真学科 卒

1976年よりフリーカメラマン広告写真分野

1982年より阿佐ヶ谷美術専門学校 非常勤講師

Vision’s Exhibitions
2008年 実験室

2009年 写真工房展

2013年 廣澤章光「実験室Ⅱ(今は昔)」

ACCESS

人形町ヴィジョンズ
〒103-0012東京都中央区日本橋堀留町2-2-9ASビル1F

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03-3808-1873/ お問い合わせ
開廊時間:12:00〜19:00
休廊日:日曜祝祭日休廊
*開廊時間・休廊日は展示によって変更あり

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